毒物及び劇物については,「毒物及び劇物取締法」に基づき,保健衛生上の見地から必要な取締りが行われています。
「毒物及び劇物取締法」では,毒物劇物の製造業者,輸入業者及び販売業者に対して登録や取扱責任者の設置を義務付けているほか,業務上毒物又は劇物を使用する者に対しても取扱規定の遵守義務を課しています。また,業務上取扱者の中には,届出や取扱責任者の設置が必要な業種もあります。
製造業,輸入業 | 登録 | 都道府県知事 | 5年 | 要設置 | 適用 | |
販売業 | 一般販売業 (全ての毒物劇物の販売) | 登録 | 都道府県知事 保健所を設置する市の市長又は特別区の区長 | 6年 | 要設置 | 適用 |
農業用品目販売業 (農業用毒物劇物の販売) | ||||||
特定品目販売業 (限定された劇物の販売) | ||||||
業務上取扱者 | 要届出業種 (シアン化ナトリウムを扱う電気めっき業者) (シアン化ナトリウムを扱う金属熱処理業者) (毒物劇物をタンクローリー等で運送する事業者※) (ヒ素化合物を扱うしろあり防除業者) | 届出 | 都道府県知事 保健所を設置する市の市長又は特別区の区長 | 永久 | 要設置 | 適用 |
その他の業種 (毒物劇物たる農薬を扱う農家) (製造途中で毒物劇物を使用する化学工場) (理科室などで毒物劇物を扱う学校) (毒物劇物を扱う試験・研究機関) など | なし | なし | なし | なし | 適用 |
※毒物及び劇物施行令第41条第3号に揚げる事業
□ 取扱われる物質が毒物又は劇物に該当するか検索したい場合(国立医薬品食品衛生研究所のホームページ)
毒物及び劇物の適正な管理がなされてなく,盗難・紛失,漏洩・流出などの事故・事件が発生した場合,地域住民に保健衛生上の危害を起こす可能性があるとともに,多大な不安をつのらせる原因となります。
関係事業者の方は,「毒物及び劇物取締法」の取扱規定を遵守し,危害防止規定を作成するなど,毒物及び劇物による事故を防止しましょう。
■毒物及び劇物の事故時における応急措置に関する基準について
「毒物及び劇物の事故時における応急措置に関する基準」は,毒劇物の運搬時の事故の際の応急措置の具体的な方法を品目ごとに定めたものです。
この基準は,運搬事故時のみならず,飛散流失の漏えい事故等についても適用されます。
□毒物及び劇物の事故時における応急措置に関する基準
■ 毒物及び劇物の業務上取扱者の取扱規定は次のとおりです。
- 毒物又は劇物の取扱(法第11条)
盗難・紛失又は施設外への漏洩・流出を防ぐ措置を講じなければなりません。 - 毒物又は劇物の表示(法第12条)
毒物又は劇物の容器や貯蔵する場所に必要な表示をしなければなりません。 - 廃棄(法第15条の2)
毒物又は劇物を廃棄する場合は,技術上の基準に従わなければなりません。 - 事故の際の措置(法第16条の2)
毒物又は劇物が盗難・紛失又は漏洩・流出した場合は,警察署等に届け出るとともに,応急措置を講じなければなりません
□ 毒物劇物の適切な保管管理について(厚生労働省のホームページ)
■ 「危害防止規定」を作りましょう。
- 平成11年8月の厚生省からの通知に基づき,広島県では,取扱場所等における毒物劇物の管理・責任体制を明確にし,保健衛生上の危害を未然に防止することをねらいとした「危害防止規定」を作成するよう,指導を行っています。
- 毒物劇物の危害は,取り扱う場所によって,種類,量,作業手順などあらゆる 点で異なります。このため,「危害防止規定」は,場所ごとに,実情に応じた具体的かつ詳細なものとして作成しましょう。
- 「労働安全衛生法」「水質汚濁防止法」「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」 「消防法」など,関係法令の規定についても遵守しましょう。
- 地震等の災害に対する対策として,転倒の可能性のある保管庫や保管容器については転倒防止措置が必要です。
□ 危害防止規定を作成するため,取扱われる毒物劇物の特性等を知るには(国立医薬品食品衛生研究所のホームページ)
□ 毒物劇物の盗難・紛失事故,漏洩・流出事故情報,規定モデル等(厚生労働省のホームページ)
ダウンロード
- 毒物劇物の適正な管理方法の詳細について(587KB)(PDF文書)
- 毒物劇物危害防止規定について(例示)(23KB)(PDF文書)
- 自己点検票(届出不要業者用)(8KB)(PDF文書)
- 自己点検票(運送業者用)(9KB)(PDF文書)
- 自己点検票(めっき・金属熱処理・しろあり防除業者用)(8KB)(PDF文書)
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
Handlers of Poisonous and Deleterious Substances |
|
国家資格 |
保健・衛生 |
マークシート |
都道府県知事 |
1965年(昭和40年) |
一般・農業・特定品目 |
毒物及び劇物取締法 |
テンプレートを表示 |
毒物劇物取扱責任者(どくぶつげきぶつとりあつかいせきにんしゃ)とは、毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)の定めに基づき、毒物や劇物の製造・販売などを行う事業所でそれらによる保健衛生上の危害の防止に当たる者をいう。
配置[編集]
毒物及び劇物取締法において、毒物劇物営業者(法第7条)と要届出業務上取扱者(法第22条第1項)は毒物劇物を取扱う施設ごとに毒物劇物取扱責任者を置き、その者を届け出ることを義務づけられている。
毒物劇物営業者とは、毒物劇物の輸入業、製造業、販売業を営む者として登録を受けた者である。このうち販売業の登録には、一般販売業、農業用品目販売業、特定品目販売業の3つの区分があり(法第4条の2)、毒物劇物取扱責任者として選任できる者の資格に一部差異がある(法第8条第4項)。
要届出業務上取扱者とは、政令の定める特定事業のために特定の毒物や劇物を取り扱う者である。具体的には、電気めっき、金属熱処理、大量運送、しろあり防除の4事業のために、シアン化ナトリウム(青酸ナトリウム)などを取り扱う場合が該当する(施行令第41条、第42条)。これに該当せず、毒物劇物を単に業務上取り扱うだけならば、毒物劇物取扱責任者を置く必要はなく、法の定めにしたがい適切な取り扱いを行えば良い(法第22条第5項)。
製造所、営業所、店舗など、毒物劇物を直接取扱う施設ごとに専任の毒物劇物取扱責任者が必要であり、またその業務の性質上、常時その施設に勤務し適切な権限を持つ者であることが求められる。
業務[編集]
法令上は「毒物又は劇物による保健衛生上の危害の防止」(法第7条1項)と記されているのみで具体的な業務の規定はないが、厚生省薬務局長から各都道府県知事にあてられた通知「毒物劇物取扱責任者の業務について」(昭和50年7月31日薬発第668号)で具体的な内容が示されている。
- 毒物劇物の製造、貯蔵、陳列、運搬のための設備基準(施行規則第4条の4)が遵守されているかの点検・管理
- 毒物劇物の表示、着色などが規定(法第3条の2第9項、第12条、第13条、第13条の2)通り行われていることの点検
- 毒物劇物の紛失・漏出などの防止措置(法第11条)が規定通り取られていることの点検
- 毒物劇物の運搬・廃棄に関する技術基準(施行令第40条から第40条の7)への適合状況の点検
- 事故時の応急措置に必要な設備器材の点検・管理、周辺事業所との連絡、保健所などへの届出、原因調査および再発防止措置に関すること
- その他、従業員の教育訓練、業務日誌の作成など
これらは、毒物劇物取扱責任者が直接従事する必要はなく、その指揮監督の下で適切に管理することとされている。
資格[編集]
下記のいずれかに該当するもののうち、欠格事項に該当しない者が毒物劇物取扱責任者となる資格を有する(法第8条)。この資格に直接対応する免許証・資格証は存在せず、実際に毒物劇物取扱責任者を届出る際には、それぞれ該当することを証明する書類を提出する必要がある。
- 薬剤師薬剤師免許証で証明する
- 厚生労働省令で定める学校で、応用化学に関する学課を修了した者卒業証書、成績証明書、単位修得証明書などで証明する
- 毒物劇物取扱者試験に合格した者 合格証書、合格証明書などで証明する
欠格事項[編集]
- 18歳未満の者
- 心身の障害により毒物劇物取扱者の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
- 麻薬、大麻、アヘン又は覚せい剤の中毒者
- 毒物若しくは劇物又は薬事に関する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者
応用化学に関する学課を修了した者[編集]
- 大学等
- 学校教育法に規定する大学又は旧大学令に基づく大学又は旧専門学校令に基づく専門学校において、応用化学に関する課程を修了した者。
- 応用化学に関する課程とは次の学部、学科とする。
- 薬学部
- 理学部、理工学部又は教育学部の化学科、理学科、生物化学科等
- 農学部、水産学部又は畜産学部の農業化学科、農芸化学科、農産化学科、園芸化学科、水産化学科、生物化学工学科、畜産科学科、食品化学科等
- 工学部の応用化学科、工業化学科、化学工業科、合成化学科、合成化学工業科、応用電気化学科、化学有機工学科、燃料化学科、高分子化学科、染料化学工業科等
- 化学に関する授業科目の単位数が必修科目の単位中28単位以上又は単位50%以上である学科
- 化学に関する科目とは、次の分野に関する講義、実験及び演習とする。
- 工業化学、無機化学、有機化学、化学工学、化学装置、化学工業、化学反応、分析化学、物理化学、電気化学、染料化学、放射化学、医科学、生化学、バイオ化学、微生物化学、農業化学、食品化学、食品応用化学、水産化学、化学工業安全、化学システム技術、環境科学、生活環境化学、生活科学、生活化学基礎、素材化学、材料化学、高分子化学、地球環境化学、工業技術基礎、課題研究等(ただし、工業技術基礎、課題研究については、応用化学に関する課程を修了したことを証する書類において、科目名に「(化学)」等の字句が明示されてあるものに限る。例:工業技術基礎(化学)、課題研究(化学))
- 化学に関する科目とは、次の分野に関する講義、実験及び演習とする。
- 応用化学に関する課程とは次の学部、学科とする。
- 学校教育法に規定する大学又は旧大学令に基づく大学又は旧専門学校令に基づく専門学校において、応用化学に関する課程を修了した者。
- 高等専門学校
- 学校教育法に規定する高等専門学校工業化学科又はこれに代わる応用化学に関する課程を修了した者。
- 専門課程を置く専修学校(専門学校)等
- 学校教育法に規定する専門学校において応用化学に関する課程を修了した者のうち、30単位以上の化学に関する科目を修得した者。
- 高等学校等
- 学校教育法に規定する高等学校において、化学に関する科目を30単位以上修得した者。
- 大学院等
- 学校教育法に規定する大学の大学院において、応用化学に関する課程を修了した者。
毒物劇物取扱者試験[編集]
毒物劇物取扱者試験は各都道府県が実施する。具体的な試験日程、試験方法などは都道府県によって異なるが、年に1回実施されている。近年では、地方ごとに試験日・試験問題を統一して実施されるケースが増えている[1][2]。
試験区分[編集]
すべての毒物劇物を対象とする一般毒物劇物取扱者試験のほかに、対象品目をそれぞれ農業用品目と特定品目に限定した試験区分が存在する。また内燃機関用メタノールのみを対象とした特定品目毒物劇物取扱者試験が実施される場合がある(施行規則附則第3項)。
試験の区分と毒物劇物取扱責任者の範囲一般 | すべて | 製造・輸入・販売・要届出 |
農業用品目 | 農業用品目のみ | 輸入・販売 |
特定品目 | 特定品目のみ | 輸入・販売 |
試験科目[編集]
- 筆記
- 法規
- 基礎化学
- 毒物・劇物の性質
- 取扱い・貯蔵知識
- 実地
- 取扱い方法
- 毒物・劇物の識別
現在、実地試験は「実地を想定した」筆記試験として実施する都道府県が多い。
- 東京都の場合(令和元年度「一般」)
- 受験料 12,900円
- 試験時間2時間、問題数75問 [筆記50問、実地25問]
- 受験者数748人、合格者数406人(合格率54.3%)
受験資格[編集]
学歴・年齢・実務経験に関わらず、受験可能。欠格事項の該当者であっても受験は可能だが、合格しても欠格事項が消滅するまでは毒物劇物取扱責任者となることは出来ない。
脚注[編集]
- ^ 毒物劇物取扱者試験に関する業務の関西広域連合※への移管について
- ^ 令和2年度からの毒物劇物取扱者試験について
関連項目[編集]
- 日本の毒物一覧
- 日本の劇物一覧
- 毒物及び劇物取締法
- 毒物劇物監視員
- 特定化学物質作業主任者
- 農薬管理指導士
- 日本の工業に関する資格一覧
外部リンク[編集]
- 毒物劇物取扱責任者の資格とは(東京都福祉保健局)