今回は、「副甲状腺ホルモンとカルシトニン」についてお話しします。 Show 副甲状腺ホルモンとカルシトニンは、どちらも血中カルシウム濃度の調節に関わるホルモンです。 この2つのホルモンは、骨吸収と骨形成のイメージが強すぎて、
という理解で終わってしまっている受験生が多いです。 残念ながらこの知識だけだと、すべての問題に対応することができません。 ということで、副甲状腺ホルモンとカルシトニンが、どのような方法で血中カルシウム濃度を調節しているのかを、確認していきます。 副甲状腺ホルモン:血中カルシウム濃度を上昇させる方法
カルシトニン:血中カルシウム濃度を低下させる方法
これらの知識が頭の中に入っていれば、どんな問題が出題されても、必ず解くことができるようになりますよ! 副甲状腺の役割と病気
副甲状腺の役割副甲状腺とは 副甲状腺は、甲状腺の裏側にある米粒くらいの大きさの臓器です。 ■背中側から見た副甲状腺 副甲状腺の働き 副甲状腺は、副甲状腺ホルモンを分泌しています。副甲状腺ホルモンの主な働きは、血液中のカルシウム濃度の調整です。カルシウムは骨の材料であるだけでなく、心臓も含め全身の筋肉を収縮させたり、血液を固まらせたりするのにも欠かせません。さらに、脳細胞が働く上でもなくてはならないミネラルです。 原発性副甲状腺機能亢進症原発性副甲状腺機能亢進症とは 副甲状腺ホルモンの病的な過剰分泌によって、血液中のカルシウム濃度が上昇し、尿路結石、骨粗しょう症や高カルシウム血症によるさまざまな症状を引き起こします。 症状典型的な症状は、以下の3つです。 最近では、典型的な症状はなく、検診などで高カルシウム血症が偶然発見される機会も多くなりました。 検査(1) 病気を診断するための検査:血液検査/尿検査 (2) 副甲状腺の腫瘍がどこにあるか探す検査 副甲状腺がんについては、治療前に診断をつけることが難しい病気です。そのため、症状や上記の検査、手術後の病理組織検査により総合的に判断をして診断しなければなりません。 治療血中カルシウムの値が11㎎/dl以上であれば、基本的には手術療法をおすすめします。根本的な治療法は、手術により腫大した副甲状腺病変の摘出です。入院して全身麻酔下で手術を行います。
日常生活高カルシウム血症になると脱水になりやすいので注意が必要です。血液中のカルシウムを上昇させないためにも、こまめに水分をとるようにして、カルシウムを多くとりすぎないようにしてください。 血液中のカルシウム濃度が極端に高く、症状が強い人は早急な入院が必要です。血液中のカルシウム濃度がわずかに高いだけで、はっきりした症状がない人は、それほど治療を急ぐ必要はありません。入院日が決まるまで普通の生活をしていただいて結構です。 二次性副甲状腺機能亢進症二次性(続発性)副甲状腺機能亢進症とは副甲状腺そのものではなく、くる病やビタミンD欠乏症、慢性腎不全などの副甲状腺以外の病気が原因で副甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、その結果、骨からカルシウムが失われる病気を、二次性(続発性)副甲状腺機能亢進症といいます。 代表的な原因:腎性副甲状腺機能亢進症について
二次性(続発性)副甲状腺機能亢進症の代表的な原因に、腎性副甲状腺機能亢進症があります。 症状 副甲状腺ホルモンの過剰な分泌は、骨のカルシウムを血液中にどんどん溶出してしまうため、骨がもろくなる「線維性骨炎」となり、骨痛や骨変形・病的骨折などの原因となります。 検査と治療法
検査では、定期的に血液中のカルシウムやリン・副甲状腺ホルモン濃度を測定します。腎性副甲状腺機能亢進症にならないようにするためには、食事療法やリン吸着剤の内服、血液中のカルシウム(Ca)が低下している場合はカルシウム製剤の内服、活性型ビタミンD3の内服または静脈内投与などで予防することが大切です。ある程度病気が進行してしまったら、まずは内科的治療として、シナカルセト(レグパラ®)、エテルカルセチド(パーサビブ®)、エボカルセト(オルケディア®)を投与します。内科的治療にもかかわらず病状が進行してしまう場合や、副作用などで継続が困難な場合は、手術療法が考慮されます。 副甲状腺のう胞副甲状腺のう胞とは副甲状腺に水の溜まりができたものを、副甲状腺のう胞と呼びます。この病気には、副甲状腺ホルモン値が上昇しない「非機能性副甲状腺のう胞」と、副甲状腺ホルモンが過剰に分泌される「機能性副甲状腺のう胞」があります。 非機能性副甲状腺のう胞 副甲状腺は、胎生期に魚類のえらに相当する鰓嚢(さいのう)というものが下垂して、甲状腺の背面に位置します。その下垂する過程で管が残って発生するものが非機能性副甲状腺のう胞といわれています。 機能性副甲状腺のう胞 機能性副甲状腺のう胞の原因としては、副甲状腺腺腫ののう胞変性などが考えられています。 症状非機能性副甲状腺のう胞症状はほとんど認めません。機能性副甲状腺のう胞原発性副甲状腺機能亢進症に準じた症状を呈します。原発性副甲状腺機能亢進症についてはこちら 検査と治療法検査では、血液中のカルシウム濃度・副甲状腺ホルモン濃度の測定によって非機能性か機能性かの判断を行い、超音波検査(エコー)やCT・アイソトープ検査(MIBIシンチグラフィ)などでのう胞の場所を確認します。 非機能性副甲状腺のう胞 内容液の穿刺・吸引治療を行うことがあります。 機能性副甲状腺のう胞 血液中のカルシウム濃度や骨の状態、結石の既往症などを考慮して、経過観察や手術の選択となります。機能性甲状腺のう胞は一度よくなっても再発する可能性があるため、手術を行う方が一般的です。 日常生活特に気をつけることはありませんが、定期的に検査しましょう。 パラサイロイドホルモンの働きは?PTHというのは84個のアミノ酸からなるペプチドホルモンです。 カルシウム(Ca)、リン(P)を調節する働きを持ち、血清Pが高くなると、PTHが分泌されて尿細管におけるPの再吸収を低下させ、尿中へのP排泄を増加させる反応が生じる。
パラソルモンの作用機序は?副甲状腺から分泌されるホルモンのことで、甲状腺から分泌されるカルシトニンというホルモンやビタミンDとともに、血液中や体液中のカルシウム濃度を一定に保っています。 カルシトニンは、血液中のカルシウム濃度が高くなると分泌が高まり、骨からカルシウムが溶け出すのを抑えるようにはたらきます。
パラトルモンのメカニズムは?パラトルモンは、血液のカルシウムの濃度を増加させるように働き、逆に甲状腺から分泌されるカルシトニンはカルシウムを減少させるように働く。 パラトルモンは、血中のカルシウム濃度を増加させるが、パラトルモン受容体(PTH受容体)は骨、腸、腎臓の3箇所の臓器に発現が見られる。
パラソルモンの標的器官は?PTHの標的臓器は骨と腎臓であり,7回膜貫通型のPTH受容体を介して標的細胞に作用する. 骨においては,骨吸収を促進し,カルシウムを血中に動員する. 腎臓においては,遠位尿細管に対してカルシウムの再吸収を促進する.
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