bioavailability
投与された薬物(製剤)が、どれだけ全身循環血中に到達し作用するかの指標。生物学的利用率(体循環液中に到達した割合、extent of bioavailability)と生物学的利用速度(rate of bioavailability)で表される。体循環血液中に入った薬物量は直接測定することができないので、薬物血中濃度の時間経過を表したグラフ(薬物血中濃度-時間曲線)を用いて評価する。一般に、静脈内投与では、投与された薬物はほぼ完全に生体で利用されるが、経口投与など他の経路で投与された薬物は、消化管からの吸収効率、肝臓・消化管での代謝(初回通過効果)の影響を受けるため、循環血液中にすべてが到達するわけではない。生物学的利用率は血中濃度と横軸(時間軸)によって囲まれた部分の面積(薬物血中濃度-時間曲線下面積:AUC)を用いて計算する。静脈内投与時のAUCを投与量とみなしたバイオアベイラビリティ(絶対的バイオアベイラビリティ)を示すことが多い。
生物学的利用率(%)=経口投与AUC/静脈投与AUC × 100
他の投与経路や投与剤型間のAUCを比較する場合には、相対的バイオアベイラビリティと呼ぶことがある。
経口投与などをした薬物の血中濃度-時間曲線は、時間0からTmaxまでの間に最大値Cmaxまで上昇し、その後は低下するという山形の曲線になる。生物学的利用速度は、製剤から薬物が吸収されて体循環血液中へ到達する速度のことであり、薬物の最高血中濃度(Cmax)と最高血中濃度到達時間(Tmax)が指標として利用されている。(2007.6.27 掲載)
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first-pass effect
薬物が投与部位から全身循環血に移行する過程で起こる分解や代謝のこと。結果として薬物の移行量が減少し、場合によっては薬効が発現しない場合がある。経口投与(内服)の場合、小腸から吸収された薬物は門脈を通って肝臓を経て全身血へ移行するが、肝臓には多くの酵素が存在し、薬物によっては大半が代謝される(肝初回通過効果)。また、最近では肝臓のみでなく、小腸にも代謝酵素が存在し、ここでの代謝も無視できないことがわかってきた。内服では初回通過効果が大きく、薬効が期待できない薬物は、注射あるいは肝初回効果通過を受けない皮膚、鼻腔、直腸下部(坐剤)などを投与経路として用いることがある。(2007.3.23 掲載)
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