これは、頻繁に論点になる事です・・。 Show
「所有権が消滅時効に掛からない」のは 実際問題、不動産だろうが動産だろうが でも例えば他人が占有し続けて当該土地 要は、土地の所有者が所有権を失う理由 何だか・・屁理屈っぽいけどそういう事 取得時効とは?を詳しく解説!|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説取得時効とは長い間他人のものを持っていると、自分のものになることを言います。 例)兼子さんは、幼い頃から住んでいる家を父の物と思い、過ごしてきました。月日は流れ、父は無くなり、兼子さんは当然に家を相続したものと思っていました。 しかし、所有権は親戚にあり、兼子さんのものではありませんでした。ただ、長い間自分のものだと思って所有してきたことから、取得時効が成立し、家は兼子さんのものとなりました。 取得時効の要件(1) ~時効の認められる権利~時効の認められる権利であることが必要です。時効の認められるものは以下の3つがあります。
取得時効の要件(2) ~所有の意思~(1)の要件に加え、以下の状態であることが必要です。
他人に物を貸すという間接的な占有でもOKです。 取得時効の要件(3) ~時効期間~(2)の要件に加え、時効期間を満たしているかどうかもポイントとなります。
取得時効の要件(4) ~中断のないこと~以下の理由による中断がないことが要件となります。
中断された場合、それまでの期間はゼロとなり、中断事由終了のときから再び時効が進行します。 取得時効の要件(5) ~当事者の意思があること~時効は時間の経過により権利を得たり失ったりする制度です。 一部には「借りたお金は絶対に返すべきだ」という考えの基、このような制度を好まない人も当然にいるはずです。 そこで、時効により利益を得る者の意思を尊重するために設けられたのが、援用・放棄の制度です。
時効の成立を主張した場合、起算日にさかのぼって権利を取得します。 占有の承継取得時効を主張する者は、自分の占有期間のみでなく、前者の占有の期間も併せて主張することができます。ただし、前者の占有の瑕疵(=欠点・マイナス点)も引き継ぐこととなります。 取得時効の中断とはそもそも時効とは、長い間ある状態が続いているので、その状態を尊重するために認められた制度です。 だとすれば、ある状態がなくなったのであれば、その時点までの状態を尊重する必要はありません。 そこで認められるのが「中断」です。 例)木野さんの家に窪田さんが勝手に住んでいた場合その8年目に窪田さんが木野さんに「この家は木野さんのものだ」と認めれば(=承認すれば)今まで続いてきた「この家は窪田さんのものらしい」という状態を尊重する必要はありません。 時効と登記
取得時効と時効取得の違い宅建で出てくるワードとして重要なのが「取得時効」です。取得時効の結果、「時効取得」するという状態が生まれます。 例)木野さんの家に窪田さんが勝手に住んでいた場合取得時効が完成し、窪田さんは家の所有権を時効取得しました。 取得時効に関するよくある質問取得時効は占有者本人が主張しなくても所有権を取得できるのですか? 実際に取得するためには、占有者は時効完成後に自分のものであると主張する(援用)必要があります。 『時効が完成すると、その効力は起算日(消滅時効「権利を行使することをし得るとき」・取得時効「占有を開始した時点」) に遡ります。』という文章が理解できません。 時効の完成と時効の成立は同じ意味になります。 「所有の意思をもって、平穏かつ公然にA所有の甲土地をBが2年間自己占有し、引き続き18年間Cに賃貸していた場合には、Bに所有の意思があっても、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができない。」というのはどういった状況なのでしょうか。 BがA所有の土地を、自分の土地だと信じて(またはA所有の土地だと知っていても)所有し、その土地をCに賃貸していたような場合です。現実的には、AがBに対して、何らかの文句を言うと思いますが、もし、あった場合には、という規定になります。 魔理沙 ねえねえ、霊夢。 霊夢 ああ、あんな昔に借りたお金はもう時効だよ。 魔理沙 え!時効ってどういうことだよ! 霊夢 魔理沙、知らないの?あんまり昔に借りた借金は時効でチャラになっちゃうんだよ。 魔理沙 たった1ヶ月くらいで消滅時効にされてたまるか! 霊夢 ちぇっ!やっぱりムリか… 魔理沙 それは取得時効のことだな。消滅時効と似ているが、ビミョーに違うんだぜ。 霊夢 そうなんだね。どう違うのかがイマイチわからないのでちょっと解説してよ。 魔理沙 わかったのぜ。主にゆっくり調査士の観点から取得時効を解説するのぜ。 霊夢 よろしくお願い。 取得時効と消滅時効時効の民法条文
消滅時効と取得時効。 民法条文を見てみると、共通項が第144条~161条、取得時効は第162条~165条に、消滅時効は第166条~169条に書かれています(消滅時効についてはその他個別事案ごとに条文があります)。 取得時効と時効取得 時々言葉がこんがらがってる人がいる取得時効と時効取得。 なので、言葉遣いとしては「私はこの土地を取得時効で時効取得した」といった文章になります。 時効の存在理由 なぜ時効というものが存在するのでしょう?
もし時効というものがなければ、前所有者が30年前に取得した土地を買うとしたら、その30年前の契約に過失はなかったか?本当にその土地はその人のものなのか?といったことを確認しなければ怖くて買えません。 「登記をしとけば対抗力があるやんか!」 あと、時効を主張・適用することを法律では時効の援用と言います。 長期継続した事実状態の尊重
これは長期存在した事実状態に一定の価値を認めて、その状態を維持しようとする法律の性質によります。法律は事実をむやみに変化させることを好みません。 長期経過による立証困難の救済 例えば、物を買った時や借金を返済した時にはレシートや領収書をもらいますよね。 法の上に眠る者は保護しない 法格言に法的地位があるからとあぐらをかいて放置している者を、法は保護しないというものがあります。 取得時効とは時効の要件一般に取得時効の要件は次の通りです。
1と2についてはわかりやすいと思います。 善意10年、悪意20年 取得時効は「善意(無過失)10年、悪意20年」と言われています。
という意味です。 つまり、この場合の善意はその物が他人のものであったことを知らなかったことをいい、悪意はそれ以外の場合、となります。 つまり、取得時効は20年経過しないと援用できないが、善意無過失を立証できれば10年で援用できる、ということです。 取得時効・実例ここで、取得時効を援用するための占有状態の事例を、善意無過失、悪意の場合の典型例を挙げてみます。 善意無過失の場合 買主Aが土地を購入した。その際業者から土地境界の説明を受けたが、その境界は真実の筆界ではなくお隣に越境した境界だった。 悪意の場合 土地所有者Bが建物を増築した時、建物の一部が隣の土地を越境してしまった。
この悪意事例では、土地所有者Cは字面で見るほど悪人ではありません。 内心は誰にも分らない ただし、占有開始時に「自分の所有の意思を持っていたのか、いなかったのか」といった本人の内心は、誰にも(裁判官でも)読み取ることはできません。 意外に難しい起算点の立証 10年、または20年以上占有すれば取得時効の要件が発生しますが、時効で難しいのが起算日の立証です。 そもそも、立証困難の救済なのに、その起算日を立証しないといけないのはおかしいですよね。 ダイヤモンド(所有権)は砕けない 日本の民法は所有権絶対主義です。
おおっと!
実際の法学書ではこんな解説はされず(笑)、「所有権は時効消滅しないが、時効援用で新たな所有権が発生したことによる反射的効果により元の所有権は消滅する」といった屁理屈のような説明がされています。ところてん方式で押し出されるようなイメージですね。 こういったロジックで所有権は消滅時効にかからない、が堅持されているらしいです。 所有権取得の種類
時効は遡及効 時効の効力は遡及効です。 二重の所有権 時効が成立することを時効の完成と言います。 担保権の消滅 時効が完成すると所有権は新たに発生し、占有開始時点にさかのぼります。 時効の完成猶予と更新旧民法では時効の中断、停止と呼んでいましたが、用語がわかりづらかったので、言葉を変え整理しました。
時効の完成猶予と更新について詳細を書くとかなり難解・長文になるので割愛します。 今回は調査士業務と関連がある時効の更新事由、承認についてのみ解説していきます。 承認:時効の更新事由 時効の更新事由として承認は少々闇が深いです。 筆界確認における承認 例えば、消滅時効が完成した借金でも、貸してから請求があった場合「ちょっと待ってくれ」と返答するだけで承認したとして時効の更新事由とされます。 里道など法定外公共物 これと同様のことが筆界確認で起こるおそれがあります。 法定外公共物の取得時効 一般的に公物(=法定外公共物)である道路や水路は取得時効の対象になりません。 筆界確認による承認行為 筆界確認をするときに、対象の土地と法定外公共物と接していたら、取得時効に関係してくる場合があります。 取得時効が援用できなくなる事例 上のような土地の位置関係だとします。 相手とあなたの土地の筆界を立会い確認をすること自体はなんの問題もありません。 建物が再建築できなくなるかも… 上記の事例の場合、うっかり承認してしまったため、123番の土地は接道しない土地ということになってしまいます。 将来の時効取得のための注意点
この時、あなたがなんの異議もとどめずに署名捺印をしてしまうと、自分の土地内にも里道があることを承認したとみなされてしまうんです。 私の所有土地に里道はない。 こうしておけば、後日自分が里道を時効取得する際にも、隣の筆界確認書の署名捺印を盾に「あんたは里道があることを承認した」とは主張されないでしょう。 時効完成前後の所有権移転 上の項でも書きましたが、厳格な事項起算日が必要となる場合があります。 時効完成前の所有権移転時効完成前の所有権移転 時効の援用は起算日の翌日から善意10年、悪意の場合でも20年間占有すれば完成します。 時効完成後の所有権移転時効完成後の所有権移転 時効が完成した後に所有権移転してしまうと、そこで一旦時効のカウントが終わってしまう、すなわち時効が更新されてしまうんです。 時効が成立しても筆界は動かない ところで、仮に越境部分の時効が成立して所有権が獲得できても、そのままでは登記が出来ません。 まとめ霊夢 なんかいままで持っていた時効のイメージがっちょっと変わったかな? 魔理沙 みんなは時効って言うと、刑法でいう公訴時効(犯罪者を処罰できなくなる)か、消滅時効のことじゃないのかな? 霊夢 そうそう。ドラマの刑事ものなんかにも出てくるもんね。 魔理沙 取得時効は結果的に元の持ち主が所有権を失うから、所有権の時効消滅のように考えると思うんだけど、実は違うんだぜ。 霊夢 所有権を消滅時効にしてしまうと、所有権が最初からなかったことになっちゃうから、それまでの権利関係がおかしくなっちゃうんだよね。 魔理沙 そうだな。もしそうなってしまうと、前所有者と前々所有者の契約行為にも影響して、話がおかしくなるのぜ。 霊夢 じゃあ、ここまでの話をまとめてよ。 魔理沙 わかったのぜ。
霊夢 けっこうたくさん論点があったんだね。 魔理沙 民法の規定は適用範囲が広いからな。 霊夢 魔理沙、今日もたくさんの解説ありがとう! 魔理沙 どういたしましてなのぜ! 霊夢 ぴえん…(ごまかせなかった…) |